新緑に囲まれ断崖を一筋に落ちる華厳の滝(奥日光)

Nikko — Kegon Falls

日本でいちばん名の知られた滝のひとつ、華厳。
でも実はこの水、あなたが漕ぐ中禅寺湖から落ちているんです。

奥日光の入り口にそびえる名瀑、華厳の滝(けごんのたき)。落差は約97メートル、日本三名瀑のひとつに数えられる、まさに日光を代表する観光名所です。でも、その水がすぐ上の中禅寺湖から流れ出ていること、そして「いつ行くか」で水量が大きく変わることは、意外と知られていません。中禅寺湖でカヤックガイドをしている私たちが、見どころと——ちょっとした“いつ行けばいい?”のコツまで、まとめてご紹介します。

新緑の岩壁を一気に流れ落ちる華厳の滝。落差約97mの奥日光を代表する名瀑
華厳の滝 ── 中禅寺湖の水が、約97mを一気に落ちる。

01 ABOUT

華厳の滝とは ── 中禅寺湖の水が落ちる、日光一の名瀑

華厳の滝は、奥日光の入り口・中禅寺湖のすぐそばにある滝です。高さ(落差)はおよそ97メートル、幅は約7メートル。垂直に切り立った岩壁を、一本の太い水柱がストンと落ちていく——その「動」の迫力で、日本三名瀑のひとつに数えられています。那智の滝(和歌山)、袋田の滝(茨城)と並ぶ、日本を代表する滝のひとつ、というわけですね。

そしてここがいちばんのポイント。華厳の滝の水は、すぐ上にある中禅寺湖から流れ出たものです。湖の水が外へ出ていく、ただひとつの出口——それが、この華厳の滝なんです。

97m

落差(高さ)

7m

滝の幅

100m

エレベーター降下

※ 落差・幅は華厳滝エレベーター公式による。およそ2万年前、男体山の噴火で流れ出た溶岩が川をせき止めて中禅寺湖ができ、その水が溶岩の崖を流れ落ちて生まれたのが華厳の滝です。長い年月のあいだ、岩を削りながら少しずつ後退してきたと考えられています。

02 WHEN

いつ行けば、水量が多い? ── ガイドだから知っている見方

「写真で見たより、水が細かった……」。実は華厳の滝、そんな声がときどき聞かれます。理由は、水量が人の手で調整されているから。中禅寺湖の出口には「中禅寺ダム」があって(管理しているのは栃木県)、華厳の滝へ流す水の量は、ここで日々コントロールされているんです。

水が豊富な夏は、毎秒2トン以上のたっぷりの水が落ちて、まさに大迫力。いっぽう、雪解け前の冬や、雨の少ない渇水の時期には、水量がぐっと絞られて、ひとすじの細い流れになることもあります。つまり「いつ行くか」で、華厳の表情はがらりと変わるというわけ。

Guide's note

水量たっぷりの華厳を見たいなら、ねらい目は水の豊富な夏か、まとまった雨が降ったあと。ちなみに栃木県の公式サイトでは、華厳の滝の「いまの落水量」が毎日公表されています。出かける前にちらっとのぞいておくと、その日の水量の見当がついて便利ですよ。これ、地元ならではの小ワザです。

そしてもうひとつ、知っておくと面白いのが「十二滝(じゅうにたき)」。よく見ると、メインの滝の中ほどから、まわりの岩肌を伝って幾筋もの細い水が、カーテンのように流れ落ちています。これは、中禅寺湖から岩のあいだにしみ込んだ水(伏流水)が、にじみ出てきたもの。本流の水量はダムで変わっても、この十二滝は一年を通して枯れにくいといわれます。ダムが絞る“表の水”と、岩がしみ出す“裏の水”。ふたつの水が一枚の岩壁に同居しているんです。

03 VIEW

滝つぼの正面まで下りる ── エレベーター観瀑台

華厳の滝には、ふたつの見方があります。ひとつは、無料の観瀑台。滝の上のほうから、全体をぐっと見渡せます。サッと立ち寄るならこちらでも十分。

でも、せっかくなら——おすすめは有料のエレベーター観瀑台です。エレベーターで一気に約100メートル下りると(所要およそ1分)、滝つぼの正面に出る観瀑台にたどり着きます。見上げる華厳は、上から眺めるのとはまったくの別もの。落ちてくる水の音、舞い上がるしぶき、岩を打つ轟き——体ごと迫力に包まれます。往復の利用料は大人600円ほど(小学生400円ほど・未就学のお子さまは無料)。営業時間は季節で変わるので、最新の情報は公式でご確認ください。

04 STREAM

あなたが漕ぐ湖の水が、ここから落ちていく

奥日光の水は、ひとつながりです。湯ノ湖から流れ落ちた湯滝の水が、戦場ヶ原をゆっくり下り、竜頭(りゅうず)の滝を経て、中禅寺湖へと注ぐ。そして、その中禅寺湖にたまった水が、最後にここ華厳の滝から、麓の大谷川(だいやがわ)へと落ちていきます。

湯滝 戦場ヶ原 竜頭の滝 中禅寺湖 華厳の滝 大谷川

そう。私たちがカヤックで漕いでいる中禅寺湖の水は、やがてこの華厳の滝から流れ落ちていく水でもあるんです。滝を見上げてから、その水をたたえる湖を、今度は水面の高さから漕いでみる。あるいは、湖を漕いだあとに「この水がさっきの滝になるのか」と眺める。どちらの順番でも、奥日光の“水のつながり”を体ごと感じられます。

岩で二手に分かれて流れ落ちる竜頭の滝。華厳の滝の手前、中禅寺湖へ注ぐ最後の段
竜頭の滝 ── 水が中禅寺湖へ入る、最後の段。この水がやがて華厳から落ちていく。

05 ACCESS

アクセス・駐車場

  • 車:日光宇都宮道路・清滝ICから国道120号(いろは坂)を上って中禅寺湖畔へ。華厳の滝は、いろは坂を上りきってすぐ、中禅寺湖の東のはしにあります。周辺に県営・市営の有料駐車場があります。紅葉の時期はいろは坂が大変混み合うので、午前の早い時間がおすすめです。
  • バス:JR・東武日光駅から東武バスの中禅寺温泉・湯元温泉行きで「中禅寺温泉」下車、徒歩すぐ。交通系ICカード(PASMO・Suicaなど)も使えます。本数が限られるので、最新の時刻表は東武バス日光でご確認ください。
  • 冬のご注意:標高が高く、冬季はいろは坂が凍結・積雪することがあります。冬は厳しい寒さのなか、まわりの十二滝が凍りついて氷の華になることも。お出かけ前に道路情報の確認と、雪道の装備を。

06 FAQ

よくあるご質問

Q.華厳の滝は、いつ行くと水量が多いですか?

水の豊富な夏や、まとまった雨が降ったあとがねらい目です。華厳は中禅寺湖の水を中禅寺ダムで調整しているので、雪解け前の冬や雨の少ない時期は、水量がぐっと絞られることがあります。栃木県の公式サイトでその日の落水量が公表されているので、出かける前にのぞいておくと見当がつきますよ。

Q.エレベーターに乗らなくても見られますか?

はい。無料の観瀑台からも、滝の全体を眺められます。ただ、滝つぼの正面まで下りられる有料のエレベーター観瀑台は、迫力がまるで別もの。時間があれば、ぜひ。往復で大人600円ほど(未就学のお子さまは無料)です。

Q.華厳の滝と湯滝、どちらがおすすめ?

性格が違うので、できれば見比べてみてください。華厳は約97メートルを一気に落ちる「動」の迫力、湯滝は岩肌いっぱいに広がって流れる「量」の迫力。華厳は中禅寺湖の水をダムで調整しているので時期で水量が変わり、湯滝は湯ノ湖から自然に流れ落ちます。湯滝のことはこちらの記事でくわしくご紹介しています。

Q.カヤックと滝めぐり、両方できますか?

できます。午前にカヤックを楽しんで、午後に華厳の滝〜竜頭の滝〜戦場ヶ原〜湯滝と回るのが王道です。回り方は午前・午後 王道モデルコースでくわしくご紹介しています。

日本でいちばん名の知られた滝のひとつ、華厳。でも、その水がすぐ上の中禅寺湖から流れ出ていることは、意外と知られていません。滝を見上げたら、今度はその水をたたえる湖へ。水面の高さから漕ぐ中禅寺湖は、また格別ですよ。

新緑の中禅寺湖をカヤックで漕ぐツアーの様子。華厳の滝から落ちる水をたたえる湖
中禅寺湖 ── 華厳の滝から落ちていく水を、水面の高さで。

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