岩で二手に分かれて流れ落ちる竜頭の滝。苔と新緑が鮮やか(奥日光)

Okunikko — Ryuzu Falls

華厳のように落ちる滝でも、湯滝のように滑る滝でもありません。竜頭は、岩を駆け下りる滝。
そして——あなたが漕ぐ中禅寺湖に、いちばん近い滝でもあるんです。

奥日光に三つの名瀑あり——。一気に落ちる華厳(けごん)、岩肌を滑り落ちる湯滝(ゆだき)、そして、長い斜面を竜のように駆け下りる竜頭の滝(りゅうずのたき)。同じ「奥日光三名瀑」でも、その姿はまるで違います。竜頭はなかでも、私たちのカヤック集合場所からいちばん近く、しかも滝沿いを歩いて楽しめる滝。中禅寺湖でガイドをしている私たちが、名前のひみつから歩き方、季節の見どころまで、ご紹介します。

大岩で二手に分かれて流れ落ちる竜頭の滝。苔と新緑が鮮やかな奥日光三名瀑のひとつ
竜頭の滝 ── 滝つぼ近くの大岩で、流れが二手に分かれる。

01 ABOUT

竜頭の滝とは ── 岩を駆け下りる「渓流瀑」

竜頭の滝は、中禅寺湖のすぐ北、戦場ヶ原のふもとにある滝です。いちばんの特徴は、その流れ方。華厳の滝が約97メートルを垂直に「ストンと落ちる」滝なら、竜頭は、岩を敷きつめたような長い急斜面を、水が勢いよく「駆け下りていく」滝。こういうタイプを渓流瀑(けいりゅうばく)と呼びます。流れ下る長さは、なんと約210メートル。ひとめでは収まらないほど、長く続いていきます。

210m

流れ下る長さ

60m

落差(高低差)

10m

滝の幅

※ 規模は日光市・栃木県の観光案内などによる。竜頭の滝が流れ下る黒っぽい岩は、その昔、男体山(なんたいさん)の噴火で流れ出た溶岩が冷えて固まったもの。つまり華厳の滝と同じく、竜頭もまた、男体山の火山活動が生んだ滝なんです。華厳は溶岩が川をせき止めて中禅寺湖をつくり、竜頭はその溶岩の坂を水が下る——同じ火の山が、ふたつの違う滝を生みました。

02 NAME

なぜ「竜の頭」? ── 名前のひみつ

「竜頭」と書いて、りゅうず。ちょっと変わった名前ですよね。これは、滝つぼの近くを見ると分かります。流れ落ちてきた水が、滝の下のほうで大きな岩にぶつかり、左右の二すじに分かれる——その姿を正面から見ると、まるで竜が頭をもたげているように見えることから、この名がついたといわれます。二手に分かれた左右の流れは、竜のヒゲ。中央の大岩が、竜の頭、というわけですね。

由来には諸説あって、「長い斜面をくねりながら流れ下る姿そのものが、のたうつ竜に見えるから」という見方もあります。どちらにせよ、ぜひ滝下の正面から眺めてみてください。轟音とともに岩を噛んで二つに割れる流れに、たしかに生きものの気配を感じます。名前を知ってから見ると、滝の表情がぐっと変わりますよ。

03 WALK

滝下から滝上まで、歩いて楽しめる滝

竜頭の滝が、ほかの二つの名瀑と大きく違うのは、ここ。華厳の滝はエレベーターで滝つぼへ下り、湯滝は観瀑台から見上げる——どちらも「一点から眺める」滝です。でも竜頭は、滝のすぐ脇を、流れと一緒に歩いて登っていけるんです。しかも、その遊歩道は無料。

まずは滝下の観瀑台へ。ここが、竜頭がいちばん「竜の頭」らしく見える正面の特等席です。そこから、滝の右側に沿った遊歩道を上っていきます。すぐ横を水しぶきが駆け下り、マイナスイオンをたっぷり浴びながら、滝をいろんな角度で見られます。登りきると、流れが二手に分かれる手前の滝上の橋。観瀑台から滝上まで、ゆっくり歩いて10分ほどの、ちょうどよいお散歩です。

Guide's note

滝下の正面に建つ「龍頭之茶屋(りゅうずのちゃや)」は、建物の中を通り抜けると、滝に面したテラスに出られます。お茶を片手に、ガラス越しの竜頭を独り占め——休憩がてら、ぜひ。なお、滝上の橋からさらに北へ進むと、戦場ヶ原・湯元温泉方面へのハイキングコース。竜頭は、戦場ヶ原ハイキングの南の入り口でもあります(戦場ヶ原まで徒歩40〜50分ほど)。

竜頭の滝を遊歩道の上から見下ろした渓流。流れの先に中禅寺湖が覗く奥日光
遊歩道を登って、滝の上から。流れの先に、中禅寺湖。

04 STREAM

中禅寺湖に、いちばん近い滝

奥日光の水は、ひとつながりです。湯ノ湖から落ちた湯滝の水が、戦場ヶ原をゆっくり流れる「湯川(ゆかわ)」になり、最後にこの竜頭の滝を駆け下りて、中禅寺湖へと注ぎ込みます。つまり竜頭は、山から下りてきた流れが「湖」になる、まさにその境目。ここで川は、中禅寺湖という大きな水面に変わるんです。

湯ノ湖 湯滝 戦場ヶ原 竜頭の滝 中禅寺湖

そしてこの竜頭の滝、私たちカヤックの集合場所(中禅寺湖畔のボートハウス)から、わずか約1キロ。中禅寺湖をぐるりと囲む滝のなかで、いちばん近い滝なんです。あなたが漕ぐ中禅寺湖の水は、つい今しがた、この竜頭を駆け下りてきた水——そう思って湖に浮かぶと、一杯の水にも物語が宿ります。滝を見上げてから湖を漕ぐ。あるいは、漕いだあとに「この水が、さっきの滝になるのか」と眺める。どちらの順番でも、奥日光の“水のつながり”を、体ごと味わえます。

05 SEASON

春のツツジ、秋の紅葉 ── 色でも楽しむ滝

竜頭の滝は、滝そのものだけでなく、まわりの彩りでも知られています。とくに有名なのが、春のトウゴクミツバツツジと、秋の紅葉。例年5月下旬から6月上旬ごろ、滝の両側を赤紫色のツツジが彩り、白い流れとのコントラストが見事です。私たちのカヤックシーズンが始まる初夏の竜頭は、いちばん華やかな顔を見せてくれます。

そして秋。竜頭の滝は、日光のなかでもいちばん早く色づく紅葉スポットといわれます。早い年は9月の下旬から木々が染まりはじめ、見頃は例年10月の中旬から下旬ごろ。燃えるような赤や黄が、流れ下る白い水を縁取って、それはもう、絵のようです。

Guide's note ── 紅葉の竜頭は、朝いちばんで

紅葉の竜頭は、とにかく混みます。いろは坂は、ふだんなら5分の道のりに、1時間かかることも。だから紅葉の時季は、「早め早めの行動」がガイドの鉄則です。いちばんのおすすめは、ご来光カヤックツアーから一日を始めること。渋滞に巻き込まれる前に動けますし、なにより——太陽が昇りきる前の、赤い光に照らされた紅葉は、昼間とはまるで別もの。ひときわ深く、燃えるように色づいて見えます。ただし、夜明けの奥日光は氷点下近くまで冷え込む日も。防寒の準備だけは、どうぞお忘れなく。

06 ACCESS

アクセス・駐車場

  • 車:日光宇都宮道路・清滝ICから国道120号(いろは坂)を上り、中禅寺湖畔から戦場ヶ原方面へ。清滝ICからおよそ30分です。滝の上側と下側に駐車場があります。紅葉の時期はいろは坂・周辺道路が大変混み合うので、午前の早い時間がおすすめです。
  • バス:JR・東武日光駅から東武バスの湯元温泉行きで「竜頭の滝」下車、徒歩すぐ。交通系ICカード(PASMO・Suicaなど)も使えます。本数が限られるので、最新の時刻表は東武バス日光でご確認ください。
  • カヤックとあわせて:竜頭の滝は、私たちの集合場所(中禅寺湖畔のボートハウス)から約1km。中禅寺湖でカヤックを楽しんだあと、いちばん気軽に立ち寄れる滝です。
  • 冬のご注意:標高が高く、冬季はいろは坂が凍結・積雪することがあります。お出かけ前に道路情報の確認と、雪道の装備を。

07 FAQ

よくあるご質問

Q.竜頭の滝は、どのくらい歩きますか?

滝下の観瀑台から滝上の橋まで、ゆっくり歩いて10分ほどです。遊歩道はよく整備されていて無料。サッと見るだけなら、滝下の正面(龍頭之茶屋のあたり)からでも十分に楽しめます。さらに北へ進むと戦場ヶ原方面のハイキングコースにつながります。

Q.ツツジや紅葉の見頃はいつですか?

トウゴクミツバツツジは例年5月下旬〜6月上旬、紅葉は10月中旬〜下旬ごろが見頃です。竜頭の滝は日光のなかでも紅葉が早く、9月下旬から色づきはじめます。紅葉シーズンはいろは坂が大渋滞になるので、渋滞の前に動けるご来光カヤックツアーから一日を始めるのが、ガイドのいちばんのおすすめです。

Q.華厳・湯滝とどう違いますか?

同じ奥日光三名瀑でも、姿がまるで違います。華厳は約97メートルを一気に落ちる「動」の滝、湯滝は岩肌を広がって滑り落ちる「面」の滝、竜頭は長い斜面を駆け下りる「渓流」の滝。三つ見比べると、滝の面白さがぐっと深まります。華厳の滝湯滝も、それぞれの記事でくわしくご紹介しています。

Q.カヤックと滝めぐり、両方できますか?

できます。竜頭の滝は集合場所から約1kmといちばん近いので、午前にカヤックを楽しんで、午後に竜頭の滝〜戦場ヶ原〜湯滝、最後に華厳と回るのが王道です。回り方は午前・午後 王道モデルコースでくわしくご紹介しています。

三名瀑のなかでいちばん地味かもしれない、竜頭の滝。でも、名前のひみつを知り、滝沿いを歩き、そしてその水が注ぐ湖を漕いでみると——きっといちばん記憶に残る滝になります。あなたが漕ぐ中禅寺湖に、いちばん近い滝。次に湖へ来たら、ぜひ会いに行ってみてください。

新緑の中禅寺湖をカヤックで漕ぐツアーの様子。竜頭の滝の水が注ぐ湖
中禅寺湖 ── 竜頭の滝が注ぎ込む水を、水面の高さで。

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