新緑に囲まれ断崖を一筋に落ちる華厳の滝(奥日光)

Okunikko — Three Waterfalls

奥日光には、名瀑が三つ。
でも実は、この三つ——同じ一本の水が、姿を変えて落ちているんです。

華厳の滝(けごん)、竜頭の滝(りゅうず)、湯滝(ゆだき)。奥日光の「三名瀑」と呼ばれる、日光を代表する三つの滝です。それぞれ性格がまるで違うのに、地図をたどると——ぜんぶ、湯ノ湖から中禅寺湖へと下る、一本の川の上にあります。同じ水が、上から順に、滑り落ち、岩を駆け下り、最後に一気に落ちていく。中禅寺湖でカヤックガイドをしている私たちが、この三つの滝を一日で巡る回り方を、“水のつながり”ごとご案内します。

新緑の岩壁を一気に流れ落ちる華厳の滝。奥日光三名瀑のひとつで落差約97m
華厳の滝 ── 三つの滝の、いちばん下流。中禅寺湖の水が、ここから麓へ落ちていく。

01 THREE FALLS

奥日光の三名瀑 ── 三つの「落ち方」を、まず知る

おもしろいのは、三つとも「落ち方」がまったく違うこと。華厳は一気に落ちる、竜頭は岩を駆け下る、湯滝は斜面を滑り落ちる。同じ「滝」でも、こんなに表情が変わるのかと驚くはずです。まずはひと目でわかるように、三つを並べてみましょう。

落ち方(型) 高さ・規模 水のみなもと
華厳の滝 一気に落ちる(直下型) 落差 約97m 中禅寺湖の出口
竜頭の滝 岩を駆け下る(渓流瀑) 全長 約210m 湯川(戦場ヶ原の水)
湯滝 斜面を滑り落ちる 高さ 約70m 湯ノ湖の出口

※ 規模は各滝の公式・観光公式資料による。華厳の落差は華厳滝エレベーター公式、竜頭の全長は日光市観光公式、湯滝の高さは日光市公式によります。

02 ONE RIVER

一本の水が、三度落ちる ── 滝めぐりは“川くだり”

三つの滝を「バラバラの観光地」だと思って回ると、少しもったいない。実はこの三名瀑、たどるとぜんぶ一本の流れの上にあるんです。いちばん上の湯ノ湖から流れ出た水が、湯滝で斜面を滑り落ち、戦場ヶ原をゆっくり下って、竜頭の滝で岩を駆け下り、中禅寺湖にたまる。そして最後に、その湖の水が華厳の滝から麓へ落ちていく。つまり滝めぐりとは、一本の水が旅していく道のりを、上から下へたどることなんです。

湯ノ湖 湯滝 戦場ヶ原 竜頭の滝 中禅寺湖 華厳の滝 大谷川

Guide's note

この“水のつながり”を知っていると、滝めぐりが何倍も面白くなります。湯滝で「この水が下ってくるのか」と眺め、竜頭で「さっきの水が中禅寺湖に入るところだ」と気づき、華厳で「その湖の水が、ここで麓へ落ちていくのか」と見上げる。三つの滝が、一本の物語でつながります。ちなみに、まん中の中禅寺湖を漕ぐのが私たちのカヤック。滝で見た水を、こんどは湖の高さから感じてもらえます。

03 ROUTE

1日での回り方 ── 順路・移動時間・アクセス

三つの滝は、国道120号(いろは坂〜戦場ヶ原)沿いに、ほどよい間隔で並んでいます。だから半日〜1日あれば、無理なく三つとも回れます。回り方は大きく二通り。

ROUTE A ── 上って行く

華厳 → 竜頭 → 湯滝

いろは坂を上ってきた流れのまま、下流から上流へ。まず華厳、湖畔を進んで竜頭、戦場ヶ原を抜けて湯滝へ。素直で迷いにくい定番です。

ROUTE B ── 水の順に下る

湯滝 → 竜頭 → 華厳

朝いちに、いちばん奥の湯滝へ。水が旅する順に下ってくる“川くだり”のような回り方。混みやすい華厳を最後にできるのも利点です。

滝と滝の間は、車ならそれぞれ10〜20分ほど(戦場ヶ原の三本松あたりから華厳までで車20分ほどが目安)。それぞれの滝で歩いたり眺めたりする時間を入れても、三つで半日ほど。華厳をエレベーター観瀑台までしっかり見て、竜頭を滝上まで歩いて、湯滝もゆっくり——と欲ばると、ちょうど一日の行程になります。

バスでも回れます

車がなくても大丈夫。JR・東武日光駅から出る東武バス(中禅寺温泉・湯元温泉方面)が、「中禅寺温泉」(華厳の最寄り)・「竜頭の滝」・「湯滝入口」を一本で結んでいます。交通系ICカード(PASMO・Suicaなど)も使えます。ただし本数が限られるので、事前に東武バス日光の時刻表を調べて、滝ごとの滞在時間と帰りの便を決めておくのがコツ。「上(湯滝)まで一気に上がって、あとはバスを乗り継ぎながら下ってくる」と組みやすいです。

そして、バスで滝めぐりをするなら——ぜひ知っておいてほしいのが「フリーパス」。区間内が乗り降り自由になるおトクなきっぷで、滝ごとに乗り降りする滝めぐりとは相性抜群です。ただし、ここでひとつ大事な注意があります。

滝めぐりならこちら ◆

湯元温泉フリーパス

3,500 円(大人)

小児 1,750円/2日間有効

華厳(中禅寺温泉)・竜頭の滝・湯滝入口・戦場ヶ原まで、ぜんぶ乗り降り自由。三つの滝をすべてカバーします。

華厳だけならこちら

中禅寺温泉フリーパス

2,300 円(大人)

小児 1,150円/2日間有効

こちらは華厳(中禅寺温泉)まで。竜頭の滝や湯滝には届かないので、滝めぐりには向きません。

ここがポイント:竜頭の滝・湯滝は中禅寺温泉より奥にあるので、三つ回るなら「湯元温泉フリーパス」を選んでください。名前が似ていて間違えやすいところです。きっぷは東武日光駅のツーリストセンターで買えるほか、スマホのモバイルチケットもあります。(料金・区間は変わることがあります。最新は東武バス日光の公式でご確認を。)

  • 駐車場:三つの滝それぞれに駐車場があります(華厳は周辺に有料駐車場、竜頭・湯滝にも駐車場あり)。滝の目の前まで車で行けるので、車での滝めぐりは負担が少なめです。
  • いろは坂の渋滞にご注意:ふだんは各20分ほどで移動できますが、ゴールデンウィークや紅葉の最盛期(10月中〜下旬)は、いろは坂が大渋滞して車で数時間かかることもあります。この時期は午前の早い時間に動くのが鉄則です。
  • 明智平からの眺めは今はお休み:華厳の滝と中禅寺湖、男体山をまとめて見下ろせる「明智平ロープウェイ」は、リニューアル工事のため2027年秋ごろまで休業中です。楽しみにしていた方はご注意を(再開は日光交通の公式でご確認ください)。

Guide's note ── 華厳の駐車場が混んでいたら

華厳の滝の駐車場は、シーズン中はとても混み合って、入り口で駐車待ちの行列ができることも珍しくありません。でも実は、すぐ周辺に、お店や個人が営む駐車場がいくつもあるんです。料金は公営とほとんど変わらず、なかにはお店(お土産屋さんや食堂)を利用すると駐車代が無料になるところも。混雑時、看板を持って案内している方を見かけると、つい身構えてしまうかもしれませんが、長い行列に並ぶくらいなら、こうした周辺の駐車場を使うほうが断然スムーズ。これも、地元だから知っている小ワザです。

04 EACH FALL

三つの滝、それぞれの見どころ

ここからは、三つの滝を一つずつ。要点だけをぎゅっとまとめました。「もっとくわしく」の記事も一本ずつ用意しているので、気になった滝はそちらへどうぞ。

01 — KEGON

華厳の滝 ── 中禅寺湖の水が、97mを一気に落ちる

日本三名瀑のひとつに数えられる、日光を代表する滝。中禅寺湖のただひとつの出口で、湖の水が垂直の岩壁を一気に落ちていきます。エレベーターで約100m下りれば、滝つぼの正面へ。ひとつだけ知っておきたいのは、この滝は水量が人の手で調整されていること。「いつ行くか」で表情が大きく変わります

華厳の滝をくわしく見る(いつ行けば水量が多い?) →

岩を階段状に駆け下る竜頭の滝。滝つぼ近くの大岩で流れが二手に分かれる渓流瀑
竜頭の滝 ── 岩を駆け下り、二手に分かれる。その姿が「竜の頭」。

02 — RYUZU

竜頭の滝 ── 岩を駆け下り、二手に分かれる渓流瀑

約210mにわたって、階段状の岩場を勢いよく流れ下る滝。滝つぼの近くで大きな岩に流れが二手に分かれ、その姿が竜の頭に見えることから、この名がついたといわれます。滝下から滝上まで、遊歩道を歩いて楽しめる(しかも無料)のがうれしいところ。中禅寺湖に注ぐ、いちばん近い滝——カヤックの集合場所からも歩いて行ける距離です。

竜頭の滝をくわしく見る(なぜ「竜の頭」?) →

幅いっぱいに岩肌を滑り落ちる湯滝。湯ノ湖から自然に流れ出る高さ約70mの名瀑
湯滝 ── 岩肌いっぱいに広がって滑り落ちる。三名瀑の“上流の主”。

03 — YUDAKI

湯滝 ── 岩肌を滑り落ちる、上流の名瀑

三名瀑のいちばん上流。湯ノ湖から自然に流れ出た水が、高さ約70m・長さ約110mの岩肌いっぱいに広がって、滑るように落ちていきます。華厳の「動」に対して、湯滝は「量」の迫力。滝のすぐ下に観瀑台があり、間近で見上げられます。ここは戦場ヶ原ハイキングの起点でもあり、滝を見てから湿原を歩く——という楽しみ方も。

湯滝をくわしく見る(華厳とどう違う?) →

05 SEASON

季節で変わる、滝めぐりの表情

  • 初夏(5月下旬〜6月):竜頭の滝ではトウゴクミツバツツジが赤紫に咲き、新緑と水しぶきが清々しい季節。奥日光がいちばんみずみずしい時期です。
  • 夏(7〜8月):水量が豊富で、華厳・湯滝ともに大迫力。標高が高く涼しいので、避暑をかねた滝めぐりにぴったり。まとまった雨のあとは、華厳の水量がとくに見ごたえあり。
  • 秋(9月下旬〜10月):竜頭の滝は日光市内でいちばん早く色づく紅葉の名所。赤く染まる岩肌と白い水の対比は必見です。戦場ヶ原の草紅葉も同じころ。ただし、いろは坂の渋滞が最も激しい時期なので、朝早くの行動を。
  • 冬(12〜3月):寒さのなか、華厳のまわりの十二滝が凍って氷の華になることも。ただし道路の凍結・積雪や、一部施設の冬季休業があります。私たちのカヤックツアーはこの時期お休みです。

06 ON THE LAKE

滝で見た水を、こんどは湖の高さで

三つの滝の、ちょうどまん中。竜頭の滝が注ぎ、華厳の滝へと落ちていく——その水をたっぷりとたたえているのが、中禅寺湖です。滝を見上げたあとに、その水そのものを、こんどは水面の高さから漕いでみる。見上げていた水の上に、自分が浮かんでいる。滝めぐりのしめくくりに、これ以上ない体験だと思っています。

カヤックの集合場所(中禅寺湖畔のボートハウス)は、竜頭の滝から車ですぐ・歩いても行ける距離。だから「午前にカヤック、午後に滝めぐり」も、「午前に滝、午後にカヤック」も、どちらも一日で無理なく組めます。はじめての方や小さなお子さま連れでも、静かな湖面をゆっくり漕げますよ。

新緑の中禅寺湖をカヤックで漕ぐツアーの様子。三つの滝をつなぐ水をたたえた湖
中禅寺湖 ── 三つの滝をつなぐ水を、水面の高さで。

Book Your Day

滝めぐりと、湖上のカヤック。奥日光の水を、上からも、水面からも。

午前ツアーを予約する → 午後ツアー →

07 FAQ

よくあるご質問

Q.三つの滝を回るのに、どれくらい時間がかかりますか?

車なら、移動と見学をあわせて半日ほどが目安です。滝と滝の間はそれぞれ10〜20分ほど。華厳のエレベーター観瀑台までしっかり見て、竜頭を滝上まで歩いて……とゆっくり楽しむなら、一日みておくと安心です。

Q.車がなくても、バスで滝めぐりはできますか?

できます。東武バス(日光駅〜中禅寺温泉〜湯元温泉)が「中禅寺温泉(華厳)」「竜頭の滝」「湯滝入口」を一本で結んでいます。交通系ICも使えます。三つとも回るなら、区間内が乗り降り自由になる「湯元温泉フリーパス」(大人3,500円ほど・2日間有効)がおトク。名前の似た「中禅寺温泉フリーパス」は華厳までで竜頭・湯滝に届かないのでご注意を。ただし本数が限られるので、時刻表を調べて、滞在時間と帰りの便を決めてから動くのがコツです。

Q.回る順番は、どちらがおすすめ?

迷いにくいのは「華厳→竜頭→湯滝」と上っていく順。混みやすい華厳を早い時間に済ませたいなら「湯滝→竜頭→華厳」と、水が流れる順に下ってくるのもおすすめです。紅葉の時期は、どちらにしても午前の早い時間に動くのが鉄則です。

Q.小さな子ども連れでも回れますか?

はい。三つとも、駐車場やバス停から滝までは近いので、お子さま連れでも回りやすいです。竜頭は遊歩道を歩くので歩きやすい靴があると安心。カヤックも4歳から参加できるので(ご来光ツアーなど一部を除く)、滝めぐりとあわせて一日たっぷり楽しめます。

Q.カヤックと滝めぐり、両方を一日でできますか?

できます。午前にカヤックを楽しんで、午後に華厳〜竜頭〜湯滝と回る(またはその逆)のが人気です。組み方は午前・午後 王道モデルコースでくわしくご紹介しています。

奥日光の三名瀑は、バラバラの観光地ではなく、一本の水がつむぐ物語。上から下へたどれば、その旅の途中に、あなたが漕ぐ中禅寺湖があります。滝を見上げたら、こんどはぜひ、その水の上へ。

各滝のくわしい記事:華厳の滝竜頭の滝湯滝戦場ヶ原
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